シティーハンター最終回の謎


ジャンプ伝統の打ち切り展開?

 すでに過去の印象なのかもしれないが週刊少年ジャンプといえば人気作でも容赦ない打ち切りというイメージがつきまとう。90年初頭はとくにその印象が強くアニメ化もされたかつての看板作品の最終回でも無残なものであった。聖闘士星矢、シティーハンター、魁!!男塾、まじかる☆タルるートくんの理不尽な打ち切りではないでしょうか?
 80年代で連載終了した看板作品、キン肉マン、北斗の拳、Dr.スランプ、キャプテン翼、作品の格としてはやや劣るが銀牙やブラックエンジェルズ、ゴッドサイダーが比較的納得のいく物語の終わり方をしているのに対して、最終回、本誌未掲載の聖闘士星矢、4週で突然の打ち切り通告をされたシティーハンター、七つの牙との闘いを強引な形で終わらせて最終章に入った 魁!!男塾 、中学編が始まってわずか5週で終了の まじかる☆タルるートくん 、どれもかつての人気作とは思えない酷い終わり方をしています。

1991年のシティーハンター

 結論から言うと、シティーハンター最後の1年はアニメのために翻弄されたと考えられます。有名な四週後の連載終了の宣告のエピソードですが、その理由も放送中だったアニメ、 シティーハンター´91 を軸に考えればかなり整合性の取れた仮説、結論を出すことができます。
 まず、これは私の個人的な意見でなく、91年当時のファンの多くはシティーハンターはユニオンテオーペとの抗争、海原との決着。そして香と獠のゴールインで物語は終わってもいいと感じていたのではないでしょうか?実際に物語はその覚悟、テンションで描かれていたと感じます。物語はクライマックス、そして掲載順は後ろから数えたが早いとファンも連載終了の覚悟はできていた、予期していました。しかし物語は二人のガラス越しの告白からの二人のゴールインでなく、香の記憶喪失で二人の関係はふりだしに戻るという読者の期待を裏切る最悪の形で連載続行となりました。キャッツアイの特別編でも印象の悪かったヒロインの記憶喪失ネタはさすがに連載続行のご都合設定に感じられ、ここまで残っていた熱心な読者も醒めてしまった人が多かったのではないでしょうか?
 公式には語られていないと思いますが、北条先生は海原編で物語を完結させるつもりで描いていたのではないかと感じます。ここで強引な連載続行となった理由がアニメ、シティーハンター91の存在です。

シティーハンター´91

 根強いファンの多いアニメ版シティーハンター。シティーハンターはインターネット上での反応などを見ているとどちらかといえばアニメ側のファンの多い作品にも思えます。それにもかかわらず空気なシリーズとなっているのがシティーハンター´91 。原作の人気低下、小室哲哉不在などいろいろ問題はあるのかもしれませんが、一番の問題は放送時間でした。日本テレビの日曜7時のゴールデンタイムという一見最も華やかな時間の枠でしたが、当時はプロ野球、巨人戦のナイター中継は高視聴率番組。91年4月28日から10月10日までの半年足らずの放送期間の大半は巨人戦の中継で放送枠が取れず、実際に放送されたレギュラー放送はわずか10話、特番を加えて全13話、むしろ巨人戦の穴埋め番組といった扱いで、シティーハンター´91は大失敗の結果となりました。
 ちなみに、91年の読売ジャイアンツは12年ぶりのBクラス4位と奮わずに、平均視聴率も17.6%で80~90年代を通して一番低い年でした。

FOREVER CITY HUNTER  最終回をめぐる考察

 ジャンプ誌上でユニオンテオーペ、海原との決着がついたのが91年の31号、「地獄からの生還!!の巻」、時期的に7月上旬ぐらいに当たり、ここから物語をまとめるエピローグとなるエピソードを掲載となれば、きれいな形シティーハンターの連載を終了できたのではないかと思えます。一番作品を終わるべきタイミングで連載を終われなかった、無理な連載続行となった理由は、単純にアニメ、 シティーハンター´91 が放送中だったためではないかと推測されます。
 逆に突然の打ち切りとなったタイミングは、原作の最終回の掲載された91年の50号から逆算していくとまず、46号「にせC・H登場!!の巻」の完結エピソード入稿のタイミングだと思われます。これは執筆時期的にもアニメ放送の終了の時期、 シティーハンター´91は91年9月22日「今夜だけこの愛を… 都会のシンデレラ物語」で 本編放送が終了、10月10日のスペシャルで完全終了前後となるため、編集がアニメ終了のタイミングで打ち切りにゴーサインを出した可能性が高いと考えられます。人気の方も海原編終了後は打ち切りラインでの掲載順が大半で、シティーハンターの連載終了自体は妥当な判断といえますが、わずか4回、話数も執筆期間も十分とは言えない中での 最終回は7年間の長期連載の有終の美を飾るには相応しくない慌ただしい結末となってしまいました。このため、コミック版では大幅な加筆修正の加えられた形で最終回、「FOREVER CITY HUNTER」が掲載され、なんとか体裁を整えた完結となりました。



 


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